路地の角を曲がるとキミは走り出す。
何度も道を変え、無事、追っ手を撒いたことを確認してから、宿へと戻った。
付けてきたのが何者だったのか、疑問は残るものの、ひとまず安全は確保することが出来た。
宿の部屋に入るとキミは、装備を外しベッドに横たわる。
一日の疲れと、心地よいアルコールの助けもあって、キミは程なく眠りに落ちた。
そしてキミは夢を見る。
眠るキミの身体に、小路で出会ったあの美しい娼婦がのしかかり、絡みついてくる。心地よい彼女の香りに包まれ、やわらかな身体の感触は、夢にしてはあまりにもリアルだった。
彼女の髪がキミの顔をくすぐり、唇がゆっくりとキミの唇に近づく…。
ちゅ…ちゅるちゅる……ちゅぱ…
長くよく動く舌が、ぬるりとキミの唇を割って侵入し、同時に甘い唾液を流し込み、口腔を犯していく。
「ん…ぁ…」
「クスクス、もう動けないでしょう…
大丈夫、心配しなくてもいい
夢見心地のまま逝かせてあげる」
心臓が早鐘のように打つ。全身が熱く、弛緩して動かない!
キミは旅の酒場で聞いた、魔物の噂を思い出す。その魔物は人間にとり憑き、無防備な夢の中でその精気をすするという…。
しかし、全ては既に遅かった!
彼女が身体を起こし、白い双臀が迫ってくるのをキミは避けることも出来ない。
濃厚な雌の匂いに包まれたまま、キミの意識は薄れてゆき、二度と目覚めることは無かった……。
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